飲食店の内装を整えたい! 色で食欲が左右されるって本当?
新しく飲食店をオープンさせたいという方や、今までの店をリニューアルしたいという方にとって、内装のデザインは最も力を入れるところです。実ははやっている飲食店の内装には、共通点があります。
そこで、今回は飲食店の内装配色のポイントをご紹介しましょう。飲食店にお勧めな配色、さけた方がよい配色とその理由もご説明します。
また、アクセントの入れ方などもご紹介しましょう。これから飲食店をオープンさせる方やリニューアルさせる予定のある方は、ぜひこの記事を読んでみてください。
1.色と食欲の関係
色と食欲には、密接な関係があります。全国展開しているチェーン店の看板を見てみてください。どれも赤やオレンジといった暖色を多く使っています。逆に、ブルー系の飲食店の看板というのはあまり見かけませんね。実は、赤やオレンジといった暖色は食欲増進の心理的効果があるのです。逆に青や水色といった寒色は気持ちを落ち着かせて食欲を後退させてしまいます。
また、自然界には青色の食べ物はありません。ほとんどが赤~茶色の暖色をしています。そのため、「落ち着いて食事ができるように」と店内をブルー系で統一してしまうと、かえって客単価が下がりがちです。ですから、飲食店の内装配色は暖色の色彩を中心に行いましょう。かといって、ブルー系の色を一切使ってはいけないというわけではありません。指し色として使えばよいのです。
2.日本人は木の色に親しみをもつ
カフェや居酒屋、レストランなどは木目調のテーブルやいす、さらにカウンターを使っていることが多いです。特に、和食を出すお店はその傾向が強いでしょう。日本の家は昔から木をふんだんに使ってきました。ですから、日本人は木材を多用した空間にいると落ち着く、という人が多いそうです。
そのため、合板のテーブルなどでも飲食店に使われるものは、木目調のものが一般的でしょう。逆に、コンクリート打ちっぱなしの壁、ガラスのテーブル、革張りのいすというようなインテリアは格好がいいですが、長居がしにくく客単価が上がりにくいのです。
3.壁紙を張り替えるだけで印象が変わるって本当?
「うちの店はどうも殺風景で寂しいな」と思う方は、一度壁紙を見てみましょう。真っ白、もしくはアイボリー色で壁面が広くはありませんか? 白系の壁紙はどんな家具も合わせやすいので、どんな部屋にも使われることが多いのです。
また、壁を白くすると部屋の中が明るく見えます。しかし、壁面が白いく広いほど、店内が殺風景に見えるでしょう。絵などを飾っても限界があると思います。そこでお勧めなのが、壁紙の張り替え。一か所でも柄入りの壁紙にするだけで、店内の雰囲気が変わります。
特に、今まで使い道がなかったデットスペースにインパクトのある壁紙を張ると、華やかな空間演出が可能です。海外製の壁紙は主張の強いものが多いですが、狭い場所に張ると程よいアクセントになるでしょう。ただし、和食を主体とする店ではあまりポップでかわいらしい壁紙は似合いません。この場合は、和の素材をモチーフにした壁紙を使いましょう。
また、デットスペースがないという場合は、部屋の下半分だけなど一部分にインパクトのある壁紙を使うとよいですね。
4.インテリアの色を決めるときの注意点
この項では、いすやテーブルさらに照明などのインテリアを配置する際の注意点をご紹介します。自分の好みに仕上げたいという気持ちもありますが、大切なのは顧客が落ち着いて食事を楽しめる空間づくりなのです。
4-1.上半分を明るい色、下半分を落ち着いた色にする
焦げ茶色や黒などの暗色は人の心を落ち着かせる効果があります。しかし、その反面部屋中を暗色にしてしまうと、圧迫感が生まれるでしょう。そこで、テーブルを境に上半分を明るい色、下半分を暗い色にしてみてください。
たとえば、いすのクッションや床を茶色や黒にして、壁紙はクリーム色などにします。アクセントが欲しい場合は、前述したように壁の一部だけ色を変えてみてもよいでしょう。これは、アクセントウォールという方法で、人目を引く効果があります。
4-2.使う色は3色までにとどめる
色を多用するほど、人の心は浮き立ちます。おもちゃ売り場やお菓子売り場がカラフルなのは、心を浮き立たせて購買欲をそそる効果を期待しているためです。しかし、落ち着いて食事をしたい場合や飲み物を飲みながら話をしたい場合はどうでしょうか?落ち着かない場所では長居できません。
ですから、使う色は3色までにとどめると統一感が出やすいでしょう。ただし、薄い色でまとめてしまうとなんとなくぼやけた印象を与えがちです。
そこで、茶色と白でテーブルといすと壁を統一したら、そこに赤やブルーのクッションを置いてみましょう。一気に空間が締まります。これを指し色の効果というのです。和食の店ならば、座布団を赤などにしてみてもよいでしょう。
4-3.照明も暖色にしてみよう
蛍光灯の白い色は寒々しさを感じさせます。ですから、食欲が減退しがちなのです。飲食店で使う照明は白熱灯がお勧め。蛍光灯しかないという場合は、照明シェードを工夫しましょう。
また、壁を照らす間接照明を使ってもよいでしょう。壁一面がガラス張りで、陽光がふりそそぐ店の場合は、昼間は自然光だけでもかまいません。ただし、日差しには十分気を配りましょう。まぶしすぎ、暗すぎを防ぐためにシェードなどを工夫して柔らかい光が差し込むようにすればよいでしょう。
4-4.居抜きの場合はどうしたらいいの?
飲食店の場合は、居抜きの店舗を借りることも多いです。居抜きとは、かつて経営していた飲食店の後へそのまま入ることをいいます。飲食店は設備投資にお金がかかるので、再利用できるところは再利用しよう、という人も多いのです。居抜きの場合はすでにインテリや内装配色がある程度決まっています。そのため、思ったような内装を使用と思ったら、大がかりな工事になることも少なくありません。
そこで、居抜きの店を借りる場合はできるだけオープンする店と前の店のコンセプトが似たようなところを選びましょう。たとえば、元居酒屋でフレンチの店をオープンさせようと思うと、大幅な改造が必要です。しかし、元居酒屋で焼き鳥屋をオープンすれば、再利用できるものが多いでしょう。
また、前述したように壁紙の交換だけならばお金をかけずに印象を変えることもできます。
おわりに
今回は飲食店の内装色のポイントなどをご紹介しました。テレビや雑誌などでは、ときおり奇抜なインテリアの飲食店が紹介されます。そのような店が一時的に人気の出ることもあるでしょう。しかし、やはり長く繁盛する店は落ち着いて飲食ができる店です。夜にオープンする居酒屋やバーなどは照明を暗めにした方が寄り落ち着きます。あまり暗すぎても足下が危ないですが、間接照明とテーブルごとの照明を置けば、よい雰囲気になるでしょう。
また、安全性にも気を配りましょう。床に玉砂利をひいたりする店もありますが、酔って歩くと危険だったりします。そこで、玉砂利をひいた上にガラス板を渡せば、安全ですし雰囲気も楽しめるでしょう。このように、いろいろと工夫してみてください。