飲食店の価格設定にはポイントがある? オーナーのための飲食学!
素晴らしい料理を提供しているのに、なぜかもうからないという飲食店は珍しくありません。もうからない理由はいくつもありますが、その中でも特に問題なのが間違った価格設定です。
そこで、今回は飲食店における価格設定のポイントについて中心にご紹介していきたいと思います。
1.もうからない飲食店の特徴は?
1-1.価格設定を間違えている
もうからない飲食店の特徴として、1番に挙げられるものといえば、やはり価格設定を適切に行えていないことです。商品に対して価格が高すぎれば、客足が遠のいて利益が落ちてしまいます。かといって、安すぎれば単純に利益が落ちるだけではなく、商品や店のブランド力が下がってしまうでしょう。
価格設定は非常に難しく、大企業でも苦戦している箇所です。たとえば、マクドナルドの代表的商品である『ハンバーガー』は、かつて60円で販売されていたことがあります。100円のハンバーガーを60円にすればより多く買ってもらえるだろうという考えからでしたが、思ったよりも販売数は伸びませんでした。さらに、『マクドナルド=チープ』という印象が根付いてしまい、ほかのハンバーガー店と同じ値段の商品を販売しても『高い』と思われるようになってしまったのです。
1回根付いた印象はそうそう変わりません。価格設定は慎重に行いましょう。
1-2.回転数が悪い
回転数の悪さももうからない店の特徴です。一般的に、飲食店の売り上げは『客単価×席数×回転数=1日の売上高』という式で成り立っています。客単価とは、1人あたりが支払う平均額。席数は読んで字のごとく席の数です。
そして、回転数とは席数に対して何人の客がきたかの値。たとえば、20席の店でランチに40人きたら満席2回分なので『2回転』、ディナーに30人きたら『1.5回転』。合計で、1日『3.5回転』となります。
客単価が1万円近くなる高級路線の場合は回転数はあまり気にしなくてもいいのですが、客単価が3000円以下の一般的な飲食店では回転数が何よりも重要な要素です。いかに回転数を上げるかは、経営者にとって課題ともいえるでしょう。回転数を上げる方法としてオーソドックスな方法は『立ち食い』、『テーブル席を作らない』、『テンポの速い音楽を流す』などが挙げられます。
1-3.強みや特色がない
お店独自の強みや特色がない場合も、もうからない店の特徴です。日本には現在70万件弱の飲食店があるとされています。お店独自の強みがなければ当然『普通の店』として埋もれていってしまうでしょう。安さや料理内容、確固としたターゲット、サービス、コンセプト、店の内装……などなど、様々な点で差別化していかなければいけません。
たとえば、メイド喫茶。現在でこそ知らぬ人がいないほど全国的に広まっていますが、出てきた当初は非常に大きなインパクトがありました。もちろん、大反響となり大きな利益を上げています。確固たるターゲット、差別化が図れる新しいコンセプト、独自のサービス……メイド喫茶は、すべてが完璧な『成功するパターン』でした。メイド喫茶とまではいかなくても、それぞれのお店でしか体験できない料理やサービスなどを考えてみるべきでしょう。
1-4.安くおいしく提供する方法ばかりを考えている
意外とよくあるのが、料理にこだわっていて実際に料理もおいしいのにもうからないというパターン。料理の品質が高まれば、それだけで客が増えるほど、今の飲食店業界は甘くはありません。むしろ、重要なポイントは肝心の料理以外にあるといっても過言ではないのです。では、どのような部分が重要なのでしょうか。それはマーケティングです。つまり、広告などの部分。特に、インターネットを利用したマーケティングが重要といえます。
いかにマーケティングが重要なのかを物語るケースに、とある焼き芋屋を例に挙げてみましょう。テレビ番組の『ありえへん∞世界』でも紹介された方なのですが、その方は焼き芋屋で月に100万円の売り上げがあります。
通常、焼き芋屋というと、音楽を流して町中を走り回るイメージがあるはずです。しかし、この焼き芋屋は違います。車を止めて1カ所にとどまっているだけで、次々に客がやってくるのです。当然、ガソリン代などの経費を抑えられるので、他の焼き芋屋よりも利益は高くなるでしょう。
この焼き芋屋が人気を獲得するようになったからくりは、フェイスブックの利用にあります。フェイスブックをこまめに更新し、何月何日の何時ごろにどこで営業するかなどの情報や、焼き芋に関する知識を発信していたのです。おいしい料理を作っていれば口コミで人気になり、もうかるだろうなんて楽観はやめましょう。お店のホームページやブログを作ったり、SNSやツイッターなどで情報を発信したりすることが大切なのです。
2.価格設定におけるポイントは?
価格設定をする際には、押さえておくべきポイントがいくつかあります。この項目で学んでいきましょう。
2-1.コストプラス方式(原価加算法)を活用して価格を設定する
コストプラス方式とは価格決定法の1つ。原価に対して一定の利幅を加えて販売価格を決定します。たとえば、1つの料理を作るのにバイト代やテナント料などを含めて1000円かかったとしましょう。そこに300円や500円などの一定利幅を加算した額を実際の提供価格にするという考え方がコストプラス方式です。
単純ゆえに管理がしやすく、さらに売れれば確実利幅分だけはもうかるので、経営初心者の方や個人経営店などでは非常におすすめの方法といえるでしょう。
2-2.価格のパターンはなるべく減らす
統計によってメニューに表記されている価格の数が多ければ多いほど、集客力が減るといわれています。これは瞬時に必要な予算を把握するのが難しいからです。通常、人が1度に把握できる数は『3パターン』までといわれています。ですから、できれば3パターンにまで絞るとよいでしょう。
どうしても価格のパターンが多い場合は、価格帯を3つに分けるという方法を使いましょう。たとえば、1000円台、1500円台、2000円台、といったようにです。こうすれば、同じ価格帯の中に複数の価格が含まれていても予算を把握しやすくなります。
また、価格はなるべく覚えやすい数字にしてください。少しでも安くしようとして962円などと中途半端な価格にするぐらいならば、999円や1000円にした方がよいでしょう。暗算が容易になるので、予算を把握しやすくなるからです。
2-3.中心価格の商品を1番多くする
中心価格とは、1番高い価格と1番低い価格の中心に位置する価格のことです。中心価格が多いということは、それだけ中心価格が目に入りやすいということ。店の予算を把握しやすくなるので、集客力を高めることができるでしょう。割合としては、中心価格の商品が全体の『7割』程度になるようにするのが理想です。
2-4.2番目に多い商品は中心価格より安いものに
中心価格の次に多い商品は、中心価格より安い価格帯に設定しましょう。こうすることで、客に『思ったよりも安い』と思ってもらえることができます。お得感を感じ、リピート率が上がるでしょう。
まとめ
今回は飲食店で価格設定をする際のポイントについて中心にご紹介しました。
- もうからない飲食店の特徴は?
- 価格設定におけるポイントは?
価格設定は商売において最も重要なポイントです。適当に決めていては、もうかるものももうかりません。今回の記事を参考に、しっかりと適切な価格設定を行いましょう。