テーブルウェアってどんなもの? 歴史から学ぶ洋食器!
インターネットやテレビ、雑誌などでたびたび出てくる『テーブルウェア』という単語。何だかオシャレな雰囲気はありますが、どういう意味なのか知らないという人も多いようです。
そこで、今回はテーブルウェアとはどのようなものなのかご紹介していきます。意外と知らないテーブルウェアの歴史についてもご紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね!
1.テーブルウェアとは?
テーブルウェアとは、食べ物や飲み物を食べるために使う食器類のこと。主に陶磁器の皿を指しますが、グラスウェア(ガラス食器)やカトラリー(スプーンやナイフなど)、テーブルマットやコースターなども含まれることがあります。名称や種類は、それぞれの地域や文化、料理においてさまざまです。
1-1.テーブルウェアの名称について
テーブルウェアは国によって呼び名や種別が変わってきます。
アメリカ合衆国における一般的な呼び方はディナーウェア。ディナーウェアにはグラスウェアが含まれますが、カトラリーは含まれません。また、アイルランドでは一般的にデルフと呼び、磁器のような高級品をチャイナ呼びます。
磁器をチャイナと呼ぶのはアイルランドだけではなく、アメリカ合衆国も同じです。イギリスではクロッカリーと呼ばれることもあります。
2.テーブルウェアの歴史
中世ヨーロッパの食卓と言うと、多くの人はハリウッド映画に出てくるようなシックで落ち着いた雰囲気を思い浮かべることでしょう。全員が神への祈りを捧げ、それが終わるまでは誰も料理に手をつけることは許されない。家長や神父が開始の合図をして、ようやく食べ物に手をつけ始める。食事中は無駄な会話をせず、洗練されたテーブルマナーで食事を口に運ぶ……そういったイメージがあるのではないでしょうか。
しかし、このような食事風景は、実はかなり最近になってできたものです。政情が安定し、農業技術が発達して人々が長い飢えや戦争から解放されるようになった近世に入って、ようやく始まりました。
そして、テーブルウェアという言葉が使われ出したのもそのころからです。18世紀中ごろからといわれ、一説には1766年に始めて使われたとされています。ディナーウェア)という言葉にいたっては、1946年に始めて使われました。
2-1.昔のヨーロッパには食器の文化がなかった!?
テーブルウェアという言葉が生まれる以前の中世ヨーロッパでは皿以外に食器はなく、それゆえ手づかみで食事をとり、テーブルクロスで口を拭いていました。
まさか、それは庶民だけで貴族は違うだろう、と思われたかもしれません。しかし、実際には貴族どころか王族まで同じ状況でした。
有名な話ですとフランス。今でこそ高貴なイメージがあり、フレンチと聞けば何だかオシャレなイメージさえ抱きますよね。しかし、中世のフランスでは宮廷料理でさえ味付けは雑で粗野な料理でした。そして、そんな粗野な料理を手づかみで食べていたのです。当然、食事に確固たる作法など存在しませんでした。
今日のフレンチ料理やフレンチ式テーブルマナーが生まれるのは、イタリアの名門貴族であるメディチ家からとある女性がフランス王に嫁いだことによります。その女性とは『カトリーヌ・ド・メディシス(イタリア名:カテリーナ・ディ・ロレンツォ・デ・メディチ)』です。
カトリーヌは嫁いでパリに移り住む際、大勢のイタリア人料理人や香料師を連れてイタリア料理や氷菓、カトラリーといったものをフランスに持ち込みました。それをきっかけにして、当時粗野だったフランス宮廷料理やテーブルマナーが洗練されることなります。
つまり、フランス料理とはイタリア料理が原型とされ、食事作法もイタリアがお手本となっているのです。フランスにオシャレというイメージしかない日本人には信じ難いかもしれませんね。
2-2.食器文化が大きく発展したのは16世紀以降
ヨーロッパの食器文化が大きく花開くこととなるのは16世紀。なぜかというと、磁器が中国からヨーロッパに伝わるからです。テーブルウェアにおいて磁器をチャイナと呼称する国が多いのは、この歴史があるからといわれています。
磁器の製法が伝わった最初の国はイタリア・フィレンツェです。そして、ここで出てくるのもメディチ家。メディチ家は複製品をつくり、成功を収めました。
中国磁器の特徴である『白地に青』を模倣する試みは、イタリアのマヨリカ焼きやオランダのデルフト焼きに見らます。しかし、これらはあくまでも陶器であり、磁器の製造は最後まで成功しませんでした。やがて陶器による中国磁器の模倣は伝統となり、磁器の製造法が明らかになった現在でも陶器としての製造を続けているようです。
18世紀にはいるとドイツで磁器製造がさらなる発展をとげます。その結果生まれたのが皆さんご存じの『マイセン』です。マイセンの技術は厳重に秘密とされましたが、ドイツ人技師によってフランスにも伝わります。その後、パリからヴェルサイユ方面へ向かう近郊の町セーヴルでセーヴル焼として磁器製造が発展しました。
この頃になると磁器を始めとしたさまざまなテーブルウェアが生まれ、食器文化は完全に確立されたものとなっていきます。そして、今のような素晴らしい食卓へつながるわけです。
3.テーブルウェアを長持ちさせるには?
3-1.陶器について
陶器は吸水性や通気性に富んだ食器のため、料理や飲み物によってはシミなどが付きやすい特徴があります。それを防ぐために、使用の前にぬるま湯などに浸してください。食器に水分がしみこむことで、後からお茶などを入れてもシミが付きづらくなるでしょう。
陶器は内部に水分が含まれていることから、電子レンジを使用すると割れることがあります。できるだけ使用を避けましょう。
また、飾り物として長期保管するような場合には、なるべく乾燥した場所で保管すると長持ちするでしょう。
3-2.磁器について
磁器は陶器と違って高い温度で固く焼き締められています。吸水性や通気性はほとんどありません。そのため、しっかりと洗えば長く使えるでしょう。また、電子レンジを使っても割れることは滅多にありません。
あえて注意点を挙げるなら、急熱急冷をさけて下さい。まれに温度差で割れることがあります。
3-3.ガラス食器について
磁器と同じく、使用にあたってさほど心配はいりません。ただし、耐熱加工伸されていないガラス食器は急熱急冷に弱いので避けましょう。もちろん、電子レンジは御法度です。高い確率で割れてしまいます。
また、ガラス食器は磁器などに比べてもろいので、重ねて抜けなくなったときには無理に外そうとはしないでください。ガラスの隙間に中性洗剤を入れ、ゆっくり外しましょう。
3-4.カトラリーについて
使用後は早めにぬるま湯と洗剤で洗い、よく拭いて水気をとりましょう。
つやを保つために、柔らかいスポンジで優しく洗うことを心がけます。硬いスポンジやたわしは傷を付ける原因となりますので、使用を避けましょう。保管する際には種別ごとに分けて引き出しにしまっておくとキズが付きにくくなります。
また、ステンレス製のカトラリーは酸や塩が苦手です。酸や塩を含んだ汚れを付着させたまま放置させたり、湿気が多い場所での保管はサビの原因になります。
ステンレスカトラリーが傷などでくすんでしまったら、クリームクレンザーや重曹などを乾いた布またはスポンジにつけて優しく磨きましょう。ただし、研磨剤の粒子によって細かい擦り傷が残る場合があります。磨く際は、持ち手の部分など、目立たないところで試してから行いましょう。
まとめ
今回は、テーブルウェアについてご紹介しました。
- テーブルウェアとは?
- テーブルウェアの歴史
- テーブルウェアを長持ちさせるには
テーブルウェアはさまざまな種類があります。近年はテーブルウェア・フェスティバルなども行われ、ユニークな作品も多くなってきました。一度、自分で好みの品を探すのも良いかもしれませんよ。